2016 年 39 巻 4 号 p. 399a
【症例】77歳男性.肩,臀部痛が持続するため近医で診断未確定のまま2014年4月下旬PSL30mg内服開始され5月7日当院紹介受診.肩造影MRIで両側肩鎖関節周囲,肩関節周囲に軽度の炎症を認めたことからリウマチ性多発筋痛症が疑われた.軽度肝機能障害を認めHBc抗体陽性であったため5月27日入院となる.HBV-DNA陰性であったが6月5日AST281 U/I,ALT383 U/I,γ-GTP551 U/Iと肝酵素およびアミラーゼ466 U/I,リパーゼ286 U/I,エラスターゼ1 618ng/dlと膵酵素上昇を認めた.腹部症状なく,腹部エコー,CTで異常所見を認めなかった.頻尿に対し自己購入していたノコギリヤシを国産から安価な外国産に変更していたため中止したところすみやかに改善し6月26日退院となった.その後,タムスロシン塩酸塩服用で肝・膵酵素上昇は認めない.【臨床的意義】ノコギリヤシは特徴的なノコギリ状の葉を持つ北米南東部のヤシ科の植物であるが薬用部位は実で,中国では古くから泌尿器疾病の治療薬として利用されている.抗血液凝固薬や抗血小板薬,経口避妊薬やホルモン療法などとの相互作用が報告されており,ドイツのコミッションEはノコギリヤシを摂取する場合,医師の定期的な診断を受けるべきであると指摘している.本症例では動脈硬化を背景とした血栓予防目的でアスピリンが投与されていた.B型肝炎ウィルスキャリアで肝酵素上昇を認めた場合,ウィルス性肝炎以外の原因も考慮すべきである.