日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
一般演題(ポスター)
P1-51 潰瘍性大腸炎が先行し,難聴や耳鳴など内耳症状を伴った高安動脈炎の1例
花井 俊一朗武田 伶中込 大樹北村 健一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 39 巻 4 号 p. 400a

詳細
抄録

  【症例】38歳の女性【主訴】発熱,右難聴・耳鳴【現病歴】X-10年に潰瘍性大腸炎(UC)と診断され,メサラジンを内服していた.X-6年から右耳閉感,耳痛を自覚し,耳鼻科を受診した.原因は特定されず,経過観察となったが,次第に右難聴,耳鳴を伴うようになった.難聴は感音性であり,遷延したためプレドニゾロン(PSL)25mg/日内服を行ったところ改善し,漸減中止となった.PSL中止後,難聴が徐々に再燃したが,軽微であったため経過観察となった.X-4年7月に発熱し,CRP 17mg/dLまで上昇した.造影CTで弓部大動脈や総頚動脈などに著明な壁肥厚を認め,当科に紹介となった.高安動脈炎(TAK)と診断し,PSL 25mg/日内服を開始,発熱やCRPは改善した.難聴や耳鳴も改善し,X-2年にはPSL 5mg/日まで減量した.X-1年4月より徐々に右難聴と耳鳴が悪化し,耳鼻科でPSLを短期的に増減したが,改善と増悪を繰り返した.内耳症状はTAKによるものと判断し,8月にPSL 20mg/日へ増量したところ,聴力は改善した.現在,PSL 11mg/日,MTX 8mg/週で治療継続中であるが,内耳症状の再燃は見られていない.【考察】難聴を伴うTAKの報告はあるものの,少数である.本例はTAK診断前に難聴が先行した.CRP上昇を伴う感音性難聴ではTAKの可能性も考慮する必要がある.また,近年UCはTAKの主要な合併症であると報告され,HLA-B 52との関連が示唆されている.UCに難聴を合併する場合もTAKを念頭に置く必要がある.

著者関連情報
© 2016 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top