2016 年 39 巻 4 号 p. 421b
著者は1991~02年の神奈川県KD患者6千人と花粉飛散数の年次動態の交差相関解析/回帰分析によりKDは,遅延型過敏性のPIDであり(3報),花粉被曝 → 免疫 → 花粉再感作 → 遅延型過敏反応のゆっくりとした亢進 → 全身性血管炎の発症という過程が,インフルエンザ流行期,介入を受けて発症が抑制される現象も指摘した(投稿中).そしてKDの様に全身的皮膚病変,cytokine stormの如き激烈な病態を呈するPIDがあるなら,より軽い症状を呈する,花粉飛散時期以降に連動して患者数が増加する従来感染症と言われて来た疾患にも,PID的要素があると考え,手足口病(HFMD),伝染性紅斑(EI)等夏風邪や無菌性髄膜炎(AM)等のvirus感染症の疫学dataに着目してきた.【解析方法・結果・考察】87~10年の東京都の毎週の患者数と,同期間の東京都12地点平均花粉数および91~05年の相模原病院観測花粉数との間の相関を統計解析した.東京都の花粉飛散の12週後から20週後にかけ相関係数が有意となり,16週後でpeakとなった.相模原花粉では,12週後から20週後にかけ相関係数が有意となり14週後にpeakとなった.既報告のKDと花粉飛散との間の相関係数より大きな相関性を示した.EIでは,4週後から16週後に花粉数との相関係数が有意に見られ10週後にpeakとなり,50~52週後にもpeakが見られた.AMとKDの間に発症の有意な相関性が解析された.アレルギー家系乳幼児のHFMD,EI,AM,KDの重複罹患の有無の検討が重要である.