日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P2-37 皮膚T細胞リンパ腫の腫瘍免疫におけるDNAM-1の役割
高橋 菜穂美菅谷 誠岡 知徳宮垣 朝光佐藤 伸一
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2016 年 39 巻 4 号 p. 422a

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抄録

  DNAM-1は主にNK細胞やCD8陽性T細胞に発現するI型の膜蛋白であり,細胞傷害活性を誘導する活性化受容体である.リガンドはCD155,CD112の2分子であり,肺癌,大腸癌,乳癌などの腫瘍細胞が発現している.本研究では皮膚T細胞リンパ腫の腫瘍免疫におけるDNAM-1の役割について検討した.皮膚T細胞リンパ腫の腫瘍細胞はCD155を発現しており,病変部におけるmRNA発現量は病気の進行とともに増加していた.皮膚T細胞リンパ腫患者の末梢血中のNK細胞およびCD8陽性T細胞表面ではDNAM-1の発現が低下しており,腫瘍免疫が低下する機序の1つと考えられた.興味深いことに血清中の可溶性DNAM-1濃度は皮膚T細胞リンパ腫の病気の進行と共に上昇しており,病勢マーカーである血清中LDHや可溶性IL-2受容体値と正の相関を認めた.血清DNAM-1値は末梢血中NK細胞およびCD8陽性T細胞におけるDNAM-1陽性率と負の相関があり,膜型DNAM-1がsheddingされて可溶性DNAM-1が生成されると考えられた.可陽性DNAM-1はin vitroにおいて,単独でCD155陽性皮膚T細胞リンパ腫株に対して細胞傷害性を示した.以上より,皮膚T細胞リンパ腫において,免疫細胞の細胞表面のDNAM-1発現は低下する一方,増加した可溶性DNAM-1が腫瘍免疫の一端を担っていると考えられた.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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