日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P2-46 気管支上皮のバリア維持におけるCpG-DNAの役割
Terufumi KuboPaulina WawrzyniakHideaki MoritaKazunari SugitaKerstin WankeJeannette I. KastCan AltunubulakliBeate RückertMübeccel AkdisCezmi A. Akdis
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2016 年 39 巻 4 号 p. 426b

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抄録

  生体の恒常性は上皮が形成するバリアが生体の内と外を隔てることによって維持されている.近年の報告によって気管支喘息患者の気管支上皮バリアは破壊されていることが明らかとなってきた.上皮バリアの破綻は外来抗原や微生物の生体内へのアクセスを促進し,抗原感作と免疫反応の発動を引き起こす.さらに免疫反応とバリア破壊は増悪ループを形成し,組織リモデリングに至ると考えられている.従って気管支喘息の発症と慢性化メカニズムの解明において上皮バリアの制御機構を明らかとすることは必須である.Toll-like receptor 9のリガンドであるCpG-DNAは制御性T細胞や1型ヘルパーT細胞の誘導を通して気管支喘息の病態をコントロールすると報告されていたが,上皮バリアに対する影響は知られていなかった.本研究では気相・液相境界培養法を用いて分化させた気管支上皮をCpG-DNAで刺激し経上皮電気抵抗と蛍光標識デキストランの透過量によってバリア機能を評価した.その結果,CpG-DNAにて刺激された気管支上皮のバリアは増強された.気管支喘息の病態形成に中心的役割を示すIL-13は上皮バリアを減弱させることが報告されているが,CpG-DNAはIL-13によるバリア障害に対して拮抗的に働いていた.また,CpG-DNAは気管支喘息上皮の障害されたバリアを修復した.これらの結果は気管支喘息の発症における衛生仮説を裏付けるものであり,CpG-DNAは気管支喘息の予防と治療に有効と考えられる.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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