日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P2-47 BAFF-BAFF受容体結合阻害活性を有する低分子化合物の探索とin vitroにおけるBAFF活性阻害作用の検証
吉本 桂子鈴木 勝也関 則靖菅原 邦夫竹内 勤
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2016 年 39 巻 4 号 p. 427a

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抄録

  【背景・目的】我々は一次性シェーグレン症候群(pSS)患者末梢血単球でのBAFF受容体(BR3)発現亢進率が患者血清IgG値と相関があることを見出し,BR3がpSSの特徴である高IgG血症などに関与し治療の標的となりうることを示してきた.本研究では独自のハイスループットスクリーニング(HTS)を用いてBAFFとBR3の結合阻害活性を有する低分子化合物を探索し,in vitro培養系を用いて候補化合物のBAFF活性阻害作用を検討した.【方法】HTSにより化合物ライブラリーからBAFFとBR3の結合阻害活性を示す低分子化合物を探索し,細胞毒性試験を経て2種類の候補化合物を得た.これらの化合物とpSS患者末梢血単球をsoluble BAFF(sBAFF)存在下で培養した.さらに化合物をsBAFF存在下で患者末梢血単球とB細胞と共に培養した.また患者PBMCを化合物存在下で抗IgM抗体,抗CD40抗体,IL-21,sBAFFにより刺激培養した.培養上清中のIL-6とIgGはELISA法により定量した.【結果・考察】HTSを施行した結果,ピロロピリミジン誘導体BIK-12およびBIK-13を得た.これらの化合物は患者末梢血単球からのBAFFによるIL-6産生を濃度依存的に抑制し,sBAFF存在下で患者末梢血単球とB細胞を共培養することにより得られたIgG産生およびPBMCを用いたB細胞刺激培養でのIgGとIL-6産生を濃度依存的に抑制した.これらの結果よりBIK-12,BIK-13はBAFFの生物活性を抑制し,pSS治療薬としての候補化合物であると考えられる.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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