日本臨床免疫学会会誌
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第44回総会ポスター賞受賞記念論文
非結核性抗酸菌症の疾患感受性遺伝子
南宮 湖長谷川 直樹別役 智子
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2017 年 40 巻 1 号 p. 60-67

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抄録

  非結核性抗酸菌(Nontuberculous Mycobacteria: NTM)による感染症は日本・世界で患者数が増加している.NTM症はその臨床像により播種性NTM症と肺NTM症に分類され,その発症メカニズムは病態により大きく異なることが予想される.播種性NTM症については,IFN-γ/IL-12軸を中心とするTh1型細胞性免疫の先天的シグナル伝達異常により発症することが分子レベルで詳細に解明されている.また,最近はIFN-γに対する自己抗体を介した後天的免疫異常による播種性NTM症が注目されている.肺NTM症は軽快と増悪を繰り返しながら徐々に進行するが,その経過には宿主・病原菌両者の関与が推察され,宿主の疾患感受性遺伝子の存在が疑われている.肺NTM症の疾患感受性遺伝子に関して,Single Nucleotide Polymorphism(SNP)解析やマイクロサテライトマーカーを用いた解析が行われてきたが,その再現性や生物学的意義など今後検討,検証すべき課題は多い.次世代シークエンサーの登場により,網羅的解析技術が急速に発展している現在,肺NTM症の疾患感受性遺伝子に関する新たな発見が期待される.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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