日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
胎児水腫と新生児期の胆汁うっ滞性肝機能障害を認め,6歳でメバロン酸キナーゼ欠損症と診断できた女児例
山下 由理子松本 真輔平本 龍吾小森 功夫田中 孝之西小森 隆太平家 俊男梅津 守一郎乾 あやの
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2017 年 40 巻 2 号 p. 131-137

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抄録

  胎児水腫と新生児期の胆汁うっ滞性肝障害と貧血,炎症反応上昇を認め,6歳時に反復する発熱発作を契機にメバロン酸キナーゼ欠損症(mevalonate kinase deficiency: MKD)の確定診断に至った女児例を経験した.5歳11か月時に発熱,炎症反応高値の精査加療目的に入院したが,自然解熱し,炎症反応の正常化した.月1回の頻度で発熱を認め,血清IgD値が高値であることからMKDが疑われた.遺伝子検査にてMKDの原因遺伝子として既知のp.Leu51Pheのヘテロ変異,新規変異であるp.Met282Thrを認め,尿中メバロン酸は非発作時,発作時ともに上昇し,メバロン酸キナーゼ活性は低下していたことからMKDの診断に至り,現在は発作時のプレドニゾロン内服で良好なコントロールを得ている.既往症として,胎児水腫,新生児期に貧血,炎症反応の上昇,胆汁うっ滞性肝障害を認めており,過去の報告から疾患関連性が示唆された.MKDの発熱発作は患者のQOLに及ぼす影響が大きい.新生児期の原因不明の胆汁うっ滞性肝障害と反復する腹痛,発熱を認める児にはMKDの可能性を考慮し,積極的に精査を進めることが望ましい.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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