日本臨床免疫学会会誌
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総説
自己免疫疾患の要素を有する間質性肺炎
西山 理東田 有智
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2017 年 40 巻 3 号 p. 139-144

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抄録

  間質性肺炎のなかで,自己免疫疾患の診断基準は満たさないものの膠原病を思わせる症状を有している例,自己抗体が陽性となる例,さらには組織学的に自己免疫疾患を疑わせる所見を呈する例が存在する.こういった症例に対する名称がいくつか提案されてきた.Kinderらが提唱したUndifferentiated connective tissue disease(UCTD),Fischerらが提唱したLung dominant connective tissue disease(LD-CTD),Vijらが提唱したAutoimmune-featured interstitial lung disease(AIF-ILD)がそれにあたるが,これらを整理する意味で2015年にInterstitial pneumonia with autoimmune features(IPAF)という概念が報告された.自己免疫疾患の要素を有する間質性肺炎に関する調査や研究は今後IPAFの診断基準に基づいて行われていくと思われる.IPAFの基準で間質性肺炎を評価した報告はまだ少ないが,間質性肺炎の中でのIPAFの頻度は7.3%~34.1%と報告によって様々で,予後については未だ結論は出ていない.IPAFを一定の疾患群とするのか,または特発性間質性肺炎の範疇に含めておくのか,予後,自己免疫疾患の発症率,治療反応性などは未だ明らかになっておらず,今後前向きのコホート等で明らかにする必要があろう.さらに今後は,間質性肺炎診断時のMultidisciplinary discussion(MDD)への膠原病内科医の参画も望まれる.

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