2017 年 40 巻 4 号 p. 302b
【目的】関節リウマチ(Rheumatoid arthritis: RA)の滑膜線維芽細胞(Fibroblast like synoviocytes: FLS)におけるオートファジーとビメンチンのシトルリン化の関連を明らかにする.【方法】6名のRAの患者血清の抗シトルリン化ビメンチン抗体価をELISA法で測定した.ヒト滑膜組織から分離したFLSをプロテアソーム阻害薬のMG132および無血清培地による飢餓状態で刺激しオートファジーを誘導した.オートファジーおよび細胞内のシトルリン化ビメンチンを抗LC3抗体,抗シトルリン抗体,抗ビメンチン抗体,抗β-アクチン抗体,抗シトルリン化ビメンチン抗体陽性患者血清を一次抗体として用いたウエスタンブロット法で評価した.【結果】抗シトルリン抗体,抗ビメンチン抗体,抗シトルリン化ビメンチン抗体陽性患者血清は54 kDaのタンパクを認識し,FLS内のビメンチンのシトルリン化が示唆された.24時間の10 μMのMG132刺激および,2-3時間の飢餓状態でLC3-IIおよびシトルリン化蛋白が有意に増加したが,ビメンチンの蛋白量は増加せず,オートファジー誘導によりビメンチンのシトルリン化の亢進が示唆された.【結論】オートファジーはFLSにおけるビメンチンのシトルリン化を促進し,RAの病態形成に関与している可能性がある.