日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター) 1 膠原病の病因と治療1
P1-20 多発性筋炎における細胞傷害性T細胞による筋傷害のin vitro解析
神谷 麻理木村 直樹高村 聡人溝口 史高川畑 仁人上阪 等
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2017 年 40 巻 4 号 p. 302d

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抄録

  多発性筋炎(PM)における筋傷害では細胞傷害性Tリンパ球(CTL)が重要な役割を担っている.PMの病理では形状の保たれた筋線維内へのCTLの侵入が認められるが,この侵入したCTLの筋傷害における機能は明らかでない.そこで私達はCTLの抗原特異的な筋線維への侵入を再現するin vitroの系を確立し,CTLの筋線維内侵入が筋傷害へ及ぼす影響を検討した.C2C12細胞にOVAペプチドとMHC class I分子(H2-Kb)を遺伝子導入しOVAペプチド及びH2-Kbを発現する筋管細胞(H2KbOVA発現筋管細胞)を作成した.OVA特異的CTLを誘導するためOT-Iマウス脾細胞をOVAペプチドで刺激しCD8陽性細胞(OVA特異的CTL)を分離した.H2KbOVA発現筋管細胞とOVA特異的CTLを共培養したところOVA依存的な細胞傷害が確認された.共培養後にミオシン重鎖とCD8に対する免疫組織染色を行い共焦点顕微鏡で観察をしたところ筋管細胞内にCTLの侵入が認められ,その頻度はIL-2存在下でOVA特異的CTLを誘導することにより増加した.H2KbOVA発現筋管細胞とOVA特異的CTLを細胞追跡試薬で標識した後に共培養し継時的に観察したところCTLの侵入を伴う筋管細胞は侵入のない細胞より短時間で細胞死に至る傾向を認めた.CTL侵入が筋管細胞の細胞死を誘導すると考えられた.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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