2017 年 40 巻 4 号 p. 312a
膠原病関連の間質性肺炎は膠原病に合併する肺病変のなかでも頻度が高く難治性の病変であり,病態の解明と新たな治療法の開発が望まれている.その主たるメカニズムの一つとしてTGF-βシグナルの異常による線維芽細胞の過剰な活性化が注目されている.近年,血管内皮細胞やT細胞のTGF-βシグナル調節因子の一つとしてLRGが見出され,様々な疾患の病態形成におけるLRGの役割について研究が進められている.今回我々は,LRGの肺線維化への関与とそのメカニズムを明らかにするために,マウスのbleomycin投与モデルを用いた線維化の評価と培養細胞を用いたTGF-βシグナルの解析を行った.Bleomycinを投与した肺では,肺胞上皮細胞や浸潤細胞の一部がLRG陽性であった.血清LRG濃度の変化はわずかであったが,肺胞洗浄液中LRG濃度はbleomycin投与により顕著に上昇し,病変組織周辺にLRGが高濃度に存在すると考えられた.LRG欠損マウスではbleomycin投与によって誘導される線維化が軽度であり,線維芽細胞の活性化の指標であるα-SMAの発現が減弱していた.また,線維芽細胞株を用いた実験からLRGがTGF-βによるSmad2のリン酸化やPAI-1の発現上昇を増強することが示された.さらに,この作用はこれまでLRGの機能発現に必要と考えられてきたendoglinに依存しないことが明らかとなった.これらの結果から,LRGは肺線維化の病態形成に関与しており,新たな治療標的の候補となりうることが示唆された.