2017 年 40 巻 5 号 p. 344-351
In vivoイメージング技術は,個体・組織を生かしたままで,生体内の様々な細胞の時空間的な挙動や機能をリアルタイムで解析する強力なツールである.著者らは,生体イメージング系を独自に改良することで,マウスが生きたままの状態で骨破壊が起きている骨・関節の表面部分を詳細に可視化する系を確立した.本技術を用いて,著者らは特に,骨関節破壊に関わる破骨細胞の動きと機能に注目して解析を行い,破骨前駆細胞の骨への遊走・位置決めがスフィンゴシン1リン酸によって制御されていることを明らかにした.また,骨表面上での生きた成熟破骨細胞による骨破壊過程を可視化することに成功し,破骨細胞による骨吸収制御メカニズムを解明するとともに,生体内において各種骨粗鬆症治療薬および分子標的治療薬が破骨細胞に及ぼす効果を明らかにした.本稿では,in vivoイメージング技術で明らかとなった破骨細胞研究の最前線について概説する.