日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
総説
IL-17産生性T細胞による骨の制御
岡本 一男
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 40 巻 5 号 p. 361-366

詳細
抄録

  骨は運動器としてだけでなく,造血幹細胞や免疫前駆細胞の維持・分化増殖の場を提供する免疫組織としても重要な役割を果たす.また骨と免疫系はサイトカインや受容体などの多くの制御分子を共有しており,そのため様々な炎症疾患において骨組織に障害が波及する.その代表的な例が関節リウマチであり,Th17細胞による破骨細胞活性の亢進が関節リウマチにおける骨関節破壊の根幹を築いている.関節リウマチ研究の進展によりIL-17と骨の関係性がクローズアップされ,骨免疫学の推進力となった.さらに近年,IL-17による骨制御は予想以上に複雑であることが分かりつつある.強直性関節炎ではIL-17産生細胞が腱靭帯付着部の骨化誘導に関わり,また骨折治癒ではIL-17産生性γδT細胞が間葉系幹細胞に作用して骨再生を促す.免疫と骨の双方が絡む病態を理解するには,骨と免疫細胞の相互関係を包括して捉える視点が必要不可欠である.

著者関連情報
© 2017 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top