日本臨床免疫学会会誌
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総説
皮膚バリア形成とバリア不全が関与する皮膚疾患
石塚 洋典
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2017 年 40 巻 6 号 p. 416-427

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抄録

  アトピー性皮膚炎(AD)が,角化関連遺伝子であるフィラグリン(FLG)の機能欠失変異によって生じることが明らかになり,アレルギー性疾患発症における皮膚バリアの重要性がより注目を浴びるようになって久しい.皮膚バリアは,その機能の多くを,脂質とタンパク質の複合体である角層に依存する.角層の形成過程は複雑であり,正常な角化には,固有の機能を有する遺伝子群の有機的な発現が必要とされる.本稿では,主として物理的皮膚バリアの形成過程に焦点をあて,角化関連遺伝子固有の機能理解を深める目的で,魚鱗癬等の単一遺伝子異常による皮膚疾患群を取り上げた.さらに,ADとアトピーマーチに関わる臨床/実験医学的な最新の知見を整理し,皮膚バリア機能不全と経皮感作についての問題点を明らかにした.また,AD以外の,角化異常を伴う慢性炎症性疾患である乾癬についても取り上げ,病態との関わりについて概説した.本稿が,アレルギー/自己免疫疾患と皮膚バリアとの接点についての理解の一助となることを願う.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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