日本臨床免疫学会会誌
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ヒトの加齢に伴う免疫能の変化とその発現機序
I.老化と好中球機能
坂根 剛
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1987 年 10 巻 3 号 p. 261-266

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抄録

70~80歳の老人で臨床的に異常のない25例の老人について,その好中球走化性,貪食能,およびO-2, H2O2, OH・, chemiluminescenceの4種の活性酸素産生能を測定した.結果は,走化性のみ有意の低下を認め,貪食能や活性酸素産生能は18~50歳の若年者対照群との間に差異を認めなかった.生体防御機構の中で,好中球は第一の防衛線を構成するが,第一の防衛線の中でも最も基本的な侵入異物への走化性という機能のみが低下を示したということは,老人の免疫能の低下や加齢による易感染性を考える上で興味深い.

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