日本臨床免疫学会会誌
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ヒトの加齢に伴う免疫能の変化とその発現機序
II.老化とNK活性
坂根 剛丹羽 靱負
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1987 年 10 巻 3 号 p. 267-271

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抄録
65~95歳の臨床的に異常を認めない54例の老人について,そのNK活性とNK細胞数を測定した.全リンパ球中にNK細胞が占める比率は老人群と18~50歳の若年者対照群との間に差異がみられなかった.しかしNK活性については, 71~85歳の老人では若年者対照群に比し,有意の増強を示し,特に76~80歳でNK活性はピークに到達した.この現象は非分画単核細胞を用いても,単球およびIarge granular lymphocyte (LGL)を可及的に枯渇させたリンパ球分画を用いても,また単球を可及的に枯渇させ, LGLを豊富に含むリンパ球分画を用いても認められたが,後者のリンパ球分画のNK活性が最も高値を示した.加齢に伴ってリンパ球機能は低下することが多い中で, NK活性はむしろ増強し,他の免疫能の低下をNK活性でカバーして生体防衛機構の恒常性に一定の役割を果していることが示唆された.
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