日本臨床免疫学会会誌
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正常妊娠時におけるlymphokine activated killer (LAK)活性についての検討
斎藤 滋斎藤 真実茨木 保一條 元彦
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1987 年 10 巻 3 号 p. 286-292

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抄録
妊娠時におけるlymphokine activated killer (LAK)活性を検討し以下の知見を得た.
1) LAK活性は妊娠初期より後期まで有意に低値(<0.01)となったが,分娩時にはすみやかにその活性は上昇し,非妊群と有意差を認めなかった.
2) 妊娠時におけるLAK活性低下機序を知るため,付着細胞及び妊婦血清のLAK活性に与える影響につき検討したが,両者ともLAK活性には何らの影響も与えなかった.
3) interleukin 2 (IL-2)の添加培養下におけるリンパ球サブセット(OKT3, OKT4, OKT8, Leu7, Leu11, OKIa1, OKM1)をflow cytometryにて検討したところ,妊婦と非妊婦人との間に差は認めなかった.つまり,妊婦におけるLAK活性低下はLAK細胞数の減少というよりはLAK細胞の機能低下に起因すると思われた.
4) 妊婦血清中にはPHA刺激下末梢単核球のIL-2産生能を抑制する因子が存在した.また本作用は産褥婦人血清には認められなかった.この事より, IL-2産生の低下及びLAK細胞の機能低下という2つの機序により,妊娠時のLAK活性誘導は抑制されており,妊娠維持に好都合な免疫環境が形成されていると思われた.
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