抄録
全身性エリテマトーデス(SLE)の肺胞出血は稀ながら重篤な合併症である.病勢が急速に進行するにもかかわらず,血痰などの自覚症状に乏しいため診断が容易でなく,かつ治療に抵抗性であるために,予後は著しく不良である.本邦で今までに報告された2例はいずれも剖検例である.我々は最近3例のSLEの肺胞出血を経験したが,うち2例に気管支鏡を施行し,気管支肺胞洗浄と経気管支肺生検から肺胞出血と診断した.さらにこの2例は集中呼吸管理とパルス療法などを行ない,肺胞出血に関しては改善することができた.本症の予後は不良であるが,気管支鏡による早期診断と呼気終末陽圧法(PEEP)を含めた集中呼吸管理が,ステロイド療法とともに重要であると考えられた.