日本臨床免疫学会会誌
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ヒトNatural Killer Activityに及ぼすカルシウム拮抗剤の影響
川内 喜代隆
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1987 年 10 巻 4 号 p. 392-400

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抄録
ヒトのNK細胞活性に及ぼすカルシウム拮抗剤(niphedipine)の影響を検討した.方法は, NK活性測定時にniphedipineを添加した際のNK活性の変動を調べた.
NK活性は添加したniphedipine濃度に依存して抑制されたが(3.6×103 ng/mlの濃度で著明に抑制された),エフェクター細胞の前処置によっては抑制されなかった.また, niphedipineのkinetic studyを施行したところ, niphe-dipineはNK活性の初期過程を抑制することが示された.
inteferOn-α (IFN-α)のエフェクター細胞前処置によりNK活性は増強するが,この過程はniphedipineの影響を全く受けなかった. NK活性測定時にIFN-αとniphedipineを同時添加した場合は, niphedipineの単独添加時に比較してNK活性の抑制は軽度であった.
以上のことは, NK細胞の標的細胞障害過程にCa2+も重要な役割を演じていることを示しているが, IFN-αのNK活性増強作用の一部はCa2+を介さないで発現することを示唆している.
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