抄録
luminol依存性chemiluminescenceを用いた測定系により,置換療法中の患児7名を対象として小児期における細菌性気道感染の主な起因菌の1つである肺炎双球菌に対するオプソニン活性を測定した.
肺炎双球菌の特異抗体によるオプソニン化と好中球による貪食が生体側の主要な防御機構と考えられ,オプソニン活性は肺炎双球菌に対する生体のin vivoにおける防御機構をin vitroにおいてもっともよく反映する測定系と考えられる.今回の測定結果は,呼吸器感染症発症時, IgG2 subclass欠乏状態においては低下し,血清IgG値とは相関せず,低γ-グロブリン血症患児の細菌性気道感染に対する免疫防御機構の指標となり,置換療法による気道感染症の治療および予防上有用と考えられる.また,肺炎双球菌に対する特異抗体の大部分がIgG2 subclassに属し,多くのIgG2 subclass欠乏症においては低値となるため,そのscreeningにも応用可能と考えられる.