抄録
当院において,2007年1月から2012年1月の間に緑膿菌が検出され,MEPMの投与を受けた患者33例について,MEPMの投与前に比べてMICが不変あるいは緑膿菌が消失した群を非耐性化群,MICが上昇した群を耐性化群として2群に分け,「非耐性化」と「耐性化」の2変数を目的変数とし,患者の「年齢」,「CCr」,「入院期間」,「MEPMの1日投与量」,「MEPMの24時間%Time above MIC(%T>MIC)」,「MEPMの投与期間」,「MEPM投与前の緑膿菌のMIC」,「ICU入室の有無」の8項目を緑膿菌耐性化危険因子の変数として,単変量解析と多変量解析を行った.単変量解析の結果,「%T>MIC」と「MEPM投与前の緑膿菌のMIC」の2変数に有意差が認められた.しかし,「CCr」,「MEPMの1日投与量」,「%T>MIC」,「MEPM投与前の緑膿菌のMIC」の4変数には多重線形性が認められた.このことより,「%T>MIC」と「MEPM投与前の緑膿菌のMIC」が,交絡関係を有した緑膿菌の耐性化危険因子と考えられ,MEPMを投与時には,緑膿菌のMICを確認し,%T>MICが延長する投与設計が必要であると考えられた.多変量解析の結果は,有意差を生じる項目は無かったが,「ICU入室の有無」については,p値が小さく,注意が必要であると考えられた.