抄録
成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)に対する抗体をHTLV-I固相化マイクロカップ(E-0773, Eisai)とBehring ELISA Processor-II (Hoechst)を用い,測定の自動化を試みた.また非働化血清はEIA法では非特異反応を示すために測定不適とされていたが, HTLV-I抗原による吸収試験を併用することにより特異抗体の検出が可能であることを認めた.
患者血清2,450件中40件(1.6%)がHTLV-I抗体陽性であったが, HTLV-I carrier 28例(ATL 2例, Hemophilia B1例を含む)のいずれもが臨床的にはHTLV-I関連疾患と診断されていなかった.しかし重篤な基礎疾患を有する症例のなかには, Western blot法でP-40を認めるものが5例あり,本ウイルス疾患の診断にはまずHTLV-I抗体測定の普遍化によるHTLV-I carrierの把握が急務であると考えられる.