日本臨床免疫学会会誌
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特異な表面形質を有する慢性T細胞増多症1症例の解析
青木 定夫斉藤 弘行丸山 聡一横山 明裕大西 昌之小池 正柴田 昭品田 章二
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1987 年 10 巻 6 号 p. 639-647

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抄録
慢性Tリンパ球増多症の患者から得られたリンパ球の解析を行った.その細胞の形態は典型的なlarge granular lymphocytes (LGL)の様相を呈した.しかしその表面形質は,これまで報告されているLGLとは異なるCD2+, CD3+, CD4+, CD5+, CD8-, CD11+, Leu7+, CD16-, FcIgG-であった.
これらの細胞は,正常人のリンパ球のIgG産生に対してヘルパー活性もサプレッサー活性も示さなかった.またナチュラルキラー活性はなく,これはInterleukin 2 (IL2)によっても増強されなかった.リンホカイン活性化キラー活性も存在しなかった. PHA, PWMなどに反応して増強し, IL2産生能も有していた.しかし予めConAにて刺激しておいても, IL2に反応した増殖は誘導できなかった.
以上より本例のLGLはその表面形質からも免疫学的機能からも, LGLの新しいサブセットと考えられる.
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