日本臨床免疫学会会誌
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正常圧水頭症と非破裂脳動脈瘤を伴ったsystemic lupus erythematosusの1例
大畠 規子高崎 芳成橋本 博史廣瀬 俊一
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1987 年 10 巻 6 号 p. 648-654

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抄録
全身性エリテマトーデスに正常圧水頭症および非破裂脳動脈瘤を合併したまれな一例を経験し,その病態と成因に考察を加え報告する.症例は43歳の女性, 1971年より全身性エリテマトーデスの診断にて治療中であったが, 1982年11月,一過性の意識消失,失禁,左下肢麻痺を呈し入院した.入院時,記銘力低下以外に神経学的異常は無く,蝶形紅斑,舌潰瘍,腎症,白血球減少,低補体血症を認め,抗核抵体および抗DNA抗体陽性であった.頭部Computed Tomo graphyにて脳室拡大を, radioisotope (RI) cisternographyでRIの脳室内異常逆流および吸収遅延を,右内頸動脈造影では中大脳動脈線状体動脈分岐部に嚢状動脈瘤を認めた.脳生検組織では虚血性変化がみられ,水頭症の成因に全身性エリテマトーデスの細小血管病変の関与が示唆されたが,動脈瘤との関連は不明であった. 1983年動脈瘤クリッピング術を施行し,以後経過を観察中である.
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