日本臨床免疫学会会誌
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肝不全で死亡した全身性エリテマトーデスの1例
古橋 悦子富井 正邦松岡 康夫入交 昭一郎岸本 宏志福田 純也
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1988 年 11 巻 4 号 p. 404-410

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抄録

昭和43年,全身性エリテマトーデスと診断された38歳の男性が発熱を主訴として61年4月当院に入院した.入院時,著明な貧血が認められ,溶血性貧血および葉酸欠乏性貧血の合併と診断された.プレドニソロン,葉酸の経口投与により貧血は著明に改善したが, 61年7月頃より急に黄疸出現.肝機能も悪化し,プレドニソロン投与により一旦は改善したが, 62年に至り,総ビリルビン値が30~53mg/dlとなった.種々治療を行ったが,肝障害の改善なく,最終的に肝不全のため2月に死亡した.
剖検で肝臓には,胆汁うっ滞を肝細胞,クッパー細胞で認め,グ氏鞘周囲の線維化があり,一次性胆汁うっ滞性肝線維症と診断された.腎臓には巣状分節性増殖性ループス腎炎および黄疸腎,心臓には陳旧性Libman-Sacks心内膜炎を認めた.
重篤な肝病変を伴うSLEはまれであり,その病因を考えるうえで重要と思われ報告した.

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