日本臨床免疫学会会誌
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ステロイド治療により著明な改善をみた好酸球性筋膜炎の1例
兼子 俊朗佐野 統加藤 治樹杉野 成近藤 元治
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1988 年 11 巻 6 号 p. 637-642

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抄録

Shulmanにより1974年に報告された好酸球性筋膜炎の1例を経験した.症例は43歳女性で両上・下肢の遠位部を中心にびまん性皮膚硬化を認めた.当初,強皮症を疑ったがレイノー現象はなく,末梢血で著明な好酸球増加を認め,臓器症状はなく,限局した皮膚症状を伴った.そこで,罹患部の皮膚から筋層までの全層にわたって生検を行い,好酸球の浸潤はないが単核球の浸潤を伴う約2mmの著明な筋膜の肥厚という好酸球性筋膜炎に典型的な組織像を得た.そこで,ベタメサゾン3mgより漸減療法を行ったところ, 2日目より四肢の浮腫状硬化は軽快し,両下肢の屈曲も容易となった.高γ-グロブリン血症を欠いているが,ステロイドが著効したことから典型例と考えられた.さらにLE test陽性,抗核抗体陽性,免疫複合体の増加,紅斑を伴う皮膚症状などが認められたことは,本疾患がSLEなどと同様に,自己免疫疾患の範疇に入ることを示唆するものと考えられた.

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