日本臨床免疫学会会誌
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11 巻, 6 号
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  • 伊藤 喜久, 河合 忠
    1988 年 11 巻 6 号 p. 551-558
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 戸叶 嘉明, 関川 巖, 橋本 博史, 奥村 康, 廣瀬 俊一
    1988 年 11 巻 6 号 p. 559-565
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    40例のSLE患者の血清中可溶性IL-2RをELISA法を用いて検索した.その結果, SLE患者の可溶性IL-2Rは正常人に比べ有意に増加していた.正常人のmean+2 S. D.以上の症例を可溶性IL-2R高値群として臨床所見を検討してみると,高値群では心外膜炎および抗核抗体peripheral patternの頻度が有意に高かったが,腎病変,抗DNA抗体の力価, CH50の値では差がなかった.可溶性IL-2Rは活性化T細胞が存在すると出現するといわれていることから,可溶性IL-2Rの力価と他の活性化T細胞のマーカーとの関連を検討してみると,可溶性IL-2Rが高値の症例ではHLA-DR, HLA-DP陽性T細胞が多い傾向にあった.これらの結果はSLE患者における活性化T細胞の存在を示唆すると同時に,可溶性IL-2Rが活性化T細胞の指標として臨床に応用できる可能性があると思われた.
  • I.補体活性阻害剤および蛋白分解酵素阻害剤による検討
    加藤 治樹, 井上 衛, 山村 義治, 谷川 真理, 佐野 統, 杉野 成, 近藤 元治
    1988 年 11 巻 6 号 p. 566-574
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    癌性腹水に対してOK-432を腹腔内投与すると,数時間以内に多数の好中球が腹腔内へ遊走し,それらによる抗腫瘍効果が知られている.ここでは好中球遊走の機序についてラットを用いて検討した.ラット腹膜上に置いたfilter membraneに付着する好中球数により好中球の遊走を検討すると, OK-432 1KE/ml単独とこれに10% NHS (正常ヒト血清)を加えたものとの間には,遊走する好中球数に差はなかった. OK-432 1KE/mlをコントロールとして各種薬剤をともに作用させると, FUT-175 10-4M, K 76 2,000μg/ml, FOY 10-3M, urinastatin 5,000U/mlでラット腹膜よりの好中球遊走は抑制された.しかし, in vitroではFUT-175, K 76は同じ濃度でC5aの生成を抑制したが, FOY, urinastatinは抑制しなかった.これらのことから, OK-432腹腔内投与による好中球遊走にはC5aの作用が重要と考えられたが,さらに局所においては凝固,線溶,キニン系の関与が示唆され,組織学的にも再確認された.
  • 城 俊明, 辻仲 康伸, 大見 良裕, 中村 清, 古嶋 薫, 池 秀之, 大出 直弘, 高橋 利通, 田島 滋, 西山 潔, 土屋 周二
    1988 年 11 巻 6 号 p. 575-580
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    自験大腸癌患者144例および対照健常人60例の末梢血単核球のnatural killer (NK)活性を測定し検討した.
    大腸癌患者のうち,リンパ節転移や血行性転移のあるものは,対照群に比べてNK活性が有意に低かった.しかし,転移を認めない患者のNK活性は,対照群と差がなかった.
    術前,術後のNK活性の推移をみると,術後3週までは一過性にNK活性が低下しているが,その他の時期では差がなかった.
    治癒手術が行われても,リンパ節転移を認めた大腸癌患者では, NK活性は継続的に低値であった.
    末梢血中のNK活性とTγ%とは有意な正の相関を示した.
    モノクローナル抗体により分類した末梢血中の単核球のsubpopulation百分率とNK活性とを比較すると, OKM1+細胞とLeu7+細胞とは正の有意な相関を, OKT4+細胞とOKT3+細胞とは負の有意な相関を認めた.
  • 杉山 和子, 樋口 清博, 井上 恭一, 佐々木 博
    1988 年 11 巻 6 号 p. 581-592
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    担癌生体において低下しているlymphokine-activated killer (LAK)活性を高めることを目的に,肝細胞癌症例におけるLAK誘導低下機序に関しての基礎的検討を行った.
    肝細胞癌症例の非付着性単核球からのLAK活性の誘導において,低濃度interleukin 2 (IL 2)の存在下では正常対照に比し活性は低下していたが,高濃度IL 2により十分な活性が誘導された.また肝細胞癌症例においては付着性細胞によりLAK誘導が阻害され,その抑制はインドメサシン添加により回復した.さらにその培養上清中には高濃度prostaglandin (PG) E2が認められ,この濃度のPGE2を外因性に培養初期に正常例のLAK誘導系に添加すると, NK細胞からのLAK誘導が抑制された.
    以上より肝細胞癌症例においては,付着性細胞の産生するPGE2が,主にNK細胞からのLAK誘導を早期過程において抑制していることが示唆された.
  • 岩崎 良章, 松浦 一陽, 池田 弘, 能祖 一裕, 高口 浩一, 澤原 正彦, 山吹 隆寛, 辻 孝夫
    1988 年 11 巻 6 号 p. 593-598
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    HBs抗原キャリアー血清120例についてHBV-DNAのgene pre-S (2)領域でcodeされているポリペプチドを,そのモノクローナル抗体を用いてELISA法で測定し, HBV-ポリマー化アルブミンレセプター(HBV-pAR)との関連を検討したものである.その結果, pre-S (2)抗原値とHBV-pAR活性とは,無症候性キャリアー(ASC)群では, r=0.826, P<0.01で,慢性肝炎~肝硬変群では, r=0.787, P<0.01でよく相関した. Pre-S (2)抗原値をHBe抗原陽性の病型別でみると, ASCで最も高く,慢性肝炎,肝硬変と病型が進展するにつれて有意に低値を示し, HBe抗体陽性のASCではさらに低値であった.インターフェロン療法時のHBe抗原陽性慢性肝炎の臨床経過では, pre-S (2)抗原はpAR活性とほぼ同時に低下して,遅れてHBe抗原からHBe抗体へseroconversionが起こった. HBVのpre-S (2)抗原は, B型肝炎の活動性および予後の推測のために臨床的に有用であることが示唆された.
  • 馬場 志郎, Robert L. Vessella, 田崎 寛
    1988 年 11 巻 6 号 p. 599-606
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ヒト腎細胞癌に対するマウスモノクロナール抗体(C5H)のF(ab')2フラグメントをin vivo studyに応用するために, F(ab')2の生成条件を検討した.基質に対する酵素比は蛋白量で40:1で, pH3.5溶液中の反応時間を1時間以上としたときに安定したF(ab')2フラグメント(MW 111,000)が得られることが判明した.回収率はProtein A Column,ゲル濾過により精製した場合50%であった.ヒト腎細胞癌由来樹立細胞株ACHNに対して125I-C5Hもしくは125I-C5HF(ab')2を使用して免疫学的結合能をScatchard plotにより解析した結果, 125I-C5Hの結合モル数は細胞1個あたり5.2×105で結合定数(Ka)は5.4×109M-1であり, 125I-C5H F(ab')2の場合,各々4.7×105, (Ka)は8.8×109M-1でintact MabとF(ab')2はほぼ同様の免疫学的活性を保持していることが明らかとなった.
  • 坪井 泉, 綾部 光芳, 池田 柊一, 市丸 道人, 横山 三男
    1988 年 11 巻 6 号 p. 607-614
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Adenosine deaminase (ADA)とpurine nucleoside phosphorylase (PNP)は,プリンサルベージ系の酵素である.我々は,血清中のADA isoenzymeであるADA1とADA2およびPNP活性を指標にadult T-cell leukemia (ATL)患者のなかで,急性型9例,リンパ腫型6例,慢性型10例,くすぶり型3例およびHTLV-1キャリアー21例を対象に測定した.健常人86例の血清について,コントロールとして測定した.
    ATL患者およびキャリアーでは,健常人に比べてADA isoenzymeおよびPNP活性値は上昇していた.慢性型のATLでは, ADA1の活性が5.1±2.3に比較して,急性型では12.4±4.8 (P<0.01)およびリンパ腫型12.8±5.9 (P<0.05)で,いずれも有意に高値を示した.くすぶり型とキャリアーのADA1は,慢性型に比べて有意差が認められなかった.キャリアーのADA2活性に比べて, ATL患者では有意に(P<0.05)上昇した. PNP活性は,リンパ腫型(3.2±2.9)および慢性型(5.1±2.3)に比べて,急性型(8.3±4.0)は有意に(P<0.05)高値を示した.患者血清中のADA isoenzymeおよびPNP活性値は, ATLの疾患を反映していると考えられた.
    これらの酵素活性値を測定することにより, ATLの病型の把握,予知および治療のモニターに応用することで有用である.
  • II. arachidonic acid cascade阻害剤による検討
    井上 衛, 加藤 治樹, 山村 義治, 谷川 真理, 佐野 統, 杉野 成, 近藤 元治
    1988 年 11 巻 6 号 p. 615-621
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    癌性胸膜炎,腹膜炎にOK-432を胸・腹腔内投与した場合,臨床的に効果が得られ,また投与後数時間以内に遊走してくる好中球の抗腫瘍作用が知られている.我々は先にラットを使って, OK-432投与初期の腹腔内への好中球遊走において,補体由来の好中球遊走因子の重要性を示した.今回は, arachidonic acid代謝産物由来の好中球遊走因子が, OK-432による好中球の遊走に関与しているかどうかについて検討を加えた.ラット腹膜上に置いたfilter membraneに付着する好中球数により好中球の遊走を検討すると, prednisolone: 100μg/ml, indomethacin: 10-4M, OKY 046: 10-4M, AA 861: 10-4M, azelastine: 10-4Mで著明に抑制され,その抑制パターンは濃度依存的であった.また, TXA2のアナログであるSTA2: 10-4Mの添加により好中球の遊走は促進された.組織学的にも同様のことが確認された.以上より, cyclooxygenase pathwayのTXA2, lipoxygenase pathwayのHETEs, LTB4などの好中球遊走因子が, OK-432の腹腔内投与による好中球遊走に関与しているものと考えられた.
  • 森 秀弘, 伊藤 直樹, 花林 隆裕, 近藤 英明, 玉舎 輝彦
    1988 年 11 巻 6 号 p. 622-629
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    子宮頸癌患者19例,良性婦人科腫瘍患者21例および健常婦人7例を対象として,末梢血単核球のphytohemagglutinin (PHA)刺激interferon γ (IFN-γ)産生能およびIFN-γ産生調節機構における単球の関与について検討した.子宮頸癌患者のIFN-γ産生能は対照群(良性婦人科腫瘍患者,健常婦人)に比し低下しており,このことは特に進行期群(II~IV期)で著しかった(P<0.01).単核球から単球を除去すると,対照群の38%,子宮頸癌初期群(0~I期)の55%および進行期群の88%においてIFN-γ産生が増加した.また, PHA刺激培養開始と同時にindomethacinを添加すると,対照群と子宮頸癌患者ともにIFN-γ産生が増加し,その増加率は対照群に比し子宮頸癌患者で有意に高値であった(P<0.05).以上の結果より,子宮頸癌患者末梢血単核球のIFN-γ産生能は,癌の進展に伴い低下し,その機序の1つとしてprostaglandin E2をmediatorとする単球の抑制効果の増強が示唆された.
  • 鈴木 貞博, 岡田 純, 柏崎 禎夫
    1988 年 11 巻 6 号 p. 630-636
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    NZB/W F1 mice, animal models of systemic lupus erythematosus (SLE), have age dependent loss of interleukin-2 (IL-2) productions and response to IL-2. But it has not been known whether in vivo administration of IL-2 is effective on disease of NZB/W F1 mice. The studies have been done in two protocols: one is short term (1 month) study and another is long term (6 month) study. We examined the effects of human recombinant IL-2 (rIL-2) on proteinuria, survival, syngeneic mixed lymphocyte reactions (SMLR), and autoantibody productions. We had following results:
    1. In short term study, the administrations of rIL-2 have no effects on IL-2 productions and proliferative responses to IL-2. But, in vivo IL-2 administration recovered significantly SMLR in 16 week age of NZB/W F1 mice.
    2. In long term study, IL-2 administration had no effects on production of IgM class anti-dsDNA antibody, but suppressed significantly IgG class anti-dsDNA antibody production. Reduction of profuse proteinuria and improvement of survival rate were also observed.
    In conclusion, IL-2 treatment might have some beneficial effects on SMLR and anti-dsDNA antibody production in NZB/W F1 mice.
  • 兼子 俊朗, 佐野 統, 加藤 治樹, 杉野 成, 近藤 元治
    1988 年 11 巻 6 号 p. 637-642
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Shulmanにより1974年に報告された好酸球性筋膜炎の1例を経験した.症例は43歳女性で両上・下肢の遠位部を中心にびまん性皮膚硬化を認めた.当初,強皮症を疑ったがレイノー現象はなく,末梢血で著明な好酸球増加を認め,臓器症状はなく,限局した皮膚症状を伴った.そこで,罹患部の皮膚から筋層までの全層にわたって生検を行い,好酸球の浸潤はないが単核球の浸潤を伴う約2mmの著明な筋膜の肥厚という好酸球性筋膜炎に典型的な組織像を得た.そこで,ベタメサゾン3mgより漸減療法を行ったところ, 2日目より四肢の浮腫状硬化は軽快し,両下肢の屈曲も容易となった.高γ-グロブリン血症を欠いているが,ステロイドが著効したことから典型例と考えられた.さらにLE test陽性,抗核抗体陽性,免疫複合体の増加,紅斑を伴う皮膚症状などが認められたことは,本疾患がSLEなどと同様に,自己免疫疾患の範疇に入ることを示唆するものと考えられた.
  • 伊勢 昭博, 深見 隆則, 黒木 康雄, 内橋 正仁, 河本 英作, 岡本 良三, 磯部 敬
    1988 年 11 巻 6 号 p. 643-649
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    The patient was a 55-year-old male, and had received intermittent hemodialysis due to renal failure since February 1985. He was admitted to our hospital on July 16, 1986 due to cough and high fever.
    Chest X-rays showed pleural effusion of the right lung and Bone X-rays revealed compression fractures of the 12th thoracic and 2nd and 5th lumbar spines.
    Bone marrow aspirates revealed sheets of abnormal plasma cells. Repeated serum protein electrophoresis showed a marked M-spike in the beta region, which was immunologically identified as IgE lambda type protein. Associated Bence Jones protein of lambda type in the urine was also found.
    The patient was treated with cyclophosphamide and steroid, but pleural effusion increased bilaterally. He died of dyspnea on December 4, 1986.
    The clinical and laboratory features of IgE myeloma were compared with those of the 23 cases previously reported as myeloma.
  • 結腸粘膜の免疫組織学的検討
    佐藤 準一, 新谷 周三, 村瀬 弘
    1988 年 11 巻 6 号 p. 650-658
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    好酸球性胃腸炎を主徴としたhypereosinophilic syndrome (HES)の1例を報告する.症例は63歳男性. 1986年6月に水様性下痢が出現, 7月脳梗塞で入院.入院時WBC 19,400/μl(Eo 55%), 1日0.5~3lの下痢が継続.胃,結腸生検で粘膜固有層に好酸球を主体とする細胞浸潤を認め, steroid剤投与で軽快. 1987年8月,痙攣発作で再入院.末梢血・骨髄の著明な好酸球増多,大量の水様性下痢,吸収不良症候群様の低栄養状態,皮疹がみられ, S状結腸粘膜固有層に好酸球浸潤を認めたが,免疫組織学的には好酸球に伴う形質細胞のIgA/IgG/IgM比率は正常で, steroid pulse therapyにより臨床症状は著明に改善し腸粘膜の好酸球は消退した.好酸球を介し腸粘膜局所の免疫学的異常が本例の下痢の発現に関与している直接的証拠は得られなかったが, corticosteroidによる治療後の経過からその関与が示唆された.
  • 河野 通史, 宮田 亮, 大本 晃裕, 松山 隆治, 佐藤 幹弥
    1988 年 11 巻 6 号 p. 659-664
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    尿細管性アシドーシス(RTA)に基づく偽骨折を呈したシェーグレン症候群(SjS)の1例を経験した.症例は38歳女性で,右大腿部痛と歩行困難により市立札幌病院へ入院した.右大腿骨X線写真にて偽骨折像を認め,骨シンチグラムでは,同部および両側肋骨部に多発異常集積像を認めた.代謝性アシドーシス,低カルシウム血症,低リン血症,高アルカリフォスファターゼ血症を呈した.塩化アンモニウム負荷試験で,尿酸性化能の著明な低下を認め重曹負荷試験で排泄率2.1%であり遠位型RTAと診断した.乾燥性角結膜炎および慢性唾液腺炎を認め, SjSに伴うRTAにより骨軟化症を起こし偽骨折をきたしたと考えられた.重曹と1α-OH-D3の投与にて代謝性アシドーシス,偽骨折の改善をみ,骨痛の消失をみた. SjSに偽骨折を伴う症例は非常に稀であるが注意を要する合併症であり報告する.
  • 池田 弘, 松浦 一陽, 岩崎 良章, 高口 浩一, 能祖 一裕, 辻 孝夫
    1988 年 11 巻 6 号 p. 665-669
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性B型肝炎患者に対するinterferon (IFN)の治療効果および予後を早期に推測することを目的としてHBV-ポリマー化アルブミンレセプター(HBV-pAR)活性とpAR抗体をELISA法により測定検討した.その結果, IFN投与によりHBe抗原からHBe抗体へのseroconversion (SC)が起こったのは, IFN投与前にpAR活性が低値,あるいはIFN投与中にpAR活性が急速に低下した症例のみであった.なお, SC率はIFN投与終了時で14例中4例(28.6%), 6ヵ月後14例中4例(28.6%)であった.しかし,いったんDNA-Pが消失してSCが起こっても, pAR活性の低下の程度が低いと再びHBe抗原・DNA-Pが陽性化となり,急性増悪が出現した. pAR活性が急速に低下し,そのまま低値を維持する群はDNA-P陰性, HBe抗原陰性, HBe抗体陽性のままS-GPTが正常化し,遅れてpAR抗体が出現した.したがって, pAR活性とpAR抗体はB型肝炎のIFN治療における治療効果および予後の判定に有用なマーカーであることが示唆された.
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