日本臨床免疫学会会誌
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B型肝炎に対するインターフェロン療法時のHBV-ポリマー化アルブミンレセプター(HBV-pAR)活性とpAR抗体の臨床的意義に関する研究
池田 弘松浦 一陽岩崎 良章高口 浩一能祖 一裕辻 孝夫
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1988 年 11 巻 6 号 p. 665-669

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抄録

慢性B型肝炎患者に対するinterferon (IFN)の治療効果および予後を早期に推測することを目的としてHBV-ポリマー化アルブミンレセプター(HBV-pAR)活性とpAR抗体をELISA法により測定検討した.その結果, IFN投与によりHBe抗原からHBe抗体へのseroconversion (SC)が起こったのは, IFN投与前にpAR活性が低値,あるいはIFN投与中にpAR活性が急速に低下した症例のみであった.なお, SC率はIFN投与終了時で14例中4例(28.6%), 6ヵ月後14例中4例(28.6%)であった.しかし,いったんDNA-Pが消失してSCが起こっても, pAR活性の低下の程度が低いと再びHBe抗原・DNA-Pが陽性化となり,急性増悪が出現した. pAR活性が急速に低下し,そのまま低値を維持する群はDNA-P陰性, HBe抗原陰性, HBe抗体陽性のままS-GPTが正常化し,遅れてpAR抗体が出現した.したがって, pAR活性とpAR抗体はB型肝炎のIFN治療における治療効果および予後の判定に有用なマーカーであることが示唆された.

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