日本臨床免疫学会会誌
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活性化CD4, CD8細胞に対する1, 25 (OH)2D3の抑制作用
伊保 澄子倉 文明奥野 芳章高橋 隆幸星野 孝
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1989 年 12 巻 1 号 p. 48-59

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抄録
1, 25 (OH)2D3(VD3)はmitogen刺激CD4細胞と同様にCD8細胞のDNA合成およびインターロイキン2 (IL 2)産生を用量依存性に抑制した.これらの作用はmitogen非刺激細胞では認められなかった. VD3添加培養したphytohemagglutinin (PHA)刺激CD4, CD8細胞のIL 2リセプター発現率は培養の中・後期にやや低下したがいずれもIL 2に反応して増殖した.一方PHA刺激CD4, CD8細胞のトランスフェリンリセプターおよびIa抗原の発現は, VD3添加によって抑制された.以上の成績はVD3がCD4細胞に特異的に作用するのではなく, CD8細胞にもCD4細胞と同様に抑制的に作用することを示している. VD3は活性化あるいは特定の増殖サイクルに入ったCD4, CD8細胞にVD3リセプターを介して作用し,それぞれの細胞内情報伝達機構を修飾することによってそれらの機能を低下させるものと考えられる.さらに生体の免疫反応の場では免疫調節を司るホルモンとして重要な役割を担う可能性が示唆された.
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