日本臨床免疫学会会誌
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スリンダクにより誘発された無菌性髄膜脳炎の1例
内田 憲上田 寛之近藤 啓文柏崎 禎夫
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1989 年 12 巻 2 号 p. 178-183

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抄録
非ステロイド系抗炎症剤による薬剤誘発性髄膜炎の発症はイブプロフェン,トルメチン,スリンダクにおいて報告されているがいまだまれである.今回, 58歳女性でレイノー現象と肺線維症が先行した慢性関節リウマチ患者で,スリンダク投与中無菌性髄膜脳炎を発症した症例を経験したので報告する.患者はスリンダク300mg/日投与後13日目に脳髄膜刺激症状を発症し入院.著明な意識低下と無菌性髄膜炎に一致する髄液所見を呈し,同剤中止後4日目に軽快した.これまでの報告では,基礎疾患にSLE, MCTDがあり,髄膜炎に他臓器障害の合併が多く,投与中止後の回復が早いとされている.本症例の基礎疾患は慢性関節リウマチで胸膜炎やこれまでに報告のないDICを併発した.本症例での薬物アレルギーの既往歴,投薬中止後の症状の軽快,好酸球数増多,スリンダクに対するLST陽性などから髄膜炎の発症に何らかの免疫反応の関与が示唆され,興味ある症例と考えられた.
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