抄録
インスリン依存性糖尿病(IDDM)に選択的IgA欠損症および9番染色体異常を合併した17歳の1女児例を経験した. 7歳時にIDDMが発症し, 9歳時に選択的IgA欠損症が, 12歳時に9番染色体異常が偶然に発見された.
選択的IgA欠損症のため,血清および唾液中のsecretory IgAは著しく低下していたが,易感染性はなく, IgGサブクラスの欠損もなかった. in vitroにおける免疫グロブリン産生能の検討より,本例におけるIgA欠損の機序として, IgA産生Bリンパ球の成熟障害が一因ではないかと推測された.
染色体検査では, G-bandingおよびC-bandingで46, XX, inv (9p+q-)の核型であった.また,母も全く同様の染色体異常を有していた.
HLA検査では,日本人のIDDMに多いCw 1およびBw 54を有していた.白人ではIDDMと選択的IgA欠損症の合併例にB 8が比較的多いと報告されているが,本例にはB 8は認められなかった.