日本臨床免疫学会会誌
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標的細胞上のMHCクラスIおよびクラスII抗原よりみたLAK細胞の多様性
藤本 卓也
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1989 年 12 巻 3 号 p. 294-301

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抄録
LAK細胞は多様性の細胞集団であると考え,標的細胞上のクラスI, II抗原の観点から分類することを試みた.Autologousのモデルを考慮し,標的細胞には自己のPHA芽球を用いた.クラスI抗原はフローサイトメトリーで観察した.標的細胞上のクラスI抗原はpH 3.0クエン酸緩衝液で処理し完全に除去した.標的細胞をrIFN-γと24時間培養するとクラスI抗原が増強された. LAK細胞は末梢血単核球にrIL-2を添加培養し誘導した.そしてモハクローナル抗体CD 3あるいはCD 16と補体を用いたnegative selection法でLAK細胞をCD 3+のCTL型LAK細胞とCD 16+のNK型LAK細胞の2群に分けた.クラスI抗原を除去した芽球と, rIFN-γで増強させた芽球を標的として経時的にLAK活性を測定した. LAK活性は, NK型LAKはクラスI抗原を除去した標的細胞に, CTL様LAKはクラスI抗原を増強した標的細胞により強い細胞傷害活性を示した.経時的に観察した細胞傷害活性の面から,早期はNK型LAKが主体,後期はCTL型LAKが主体となると考えられた.標的細胞上のクラスI抗原の観点からLAK細胞はNK型, CTL型の2っの型が存在すると考えられた.一方,クラスII抗原は今回の実験ではLAK細胞の傷害活性には直接関与を示さなかった.
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