日本臨床免疫学会会誌
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Castlemanリンパ腫様の組織像を呈し系統的リンパ節腫脹と胃腸管の多発性ポリポーシスをきたした1例
杉原 尚戸川 敦大槻 剛巳神崎 暁郎井上 信正萬納寺 正清八幡 義人真鍋 俊明
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1989 年 12 巻 6 号 p. 675-684

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抄録

Castlemanリンパ腫様の組織像を呈し全身リンパ節腫脹,高γ-グロブリン血症および消化管に多発性ポリープ様病変を有する65歳,男性例を報告する.患者は64歳のとき全身倦怠感出現し,近医にて貧血と高蛋白血症を指摘された. 1983年6月28日当科入院.入院時,全身リンパ節腫脹を認め,右下腹部には8×8cm大の境界不明瞭な軟らかい腫瘤を触知した.直腸診で結節状隆起を多数触知した.検査成績: Hb 7.3g/dl,血小板22.5×104l, WBC 8,400/μl,分画で異型リンパ球11%,骨髄有核細胞数33.7×104l,形質細胞7%,異型リンパ球5%. 125I-PVP test 2.39%, CRP 1.0mg/dl,寒冷凝集素価×1,024,トキソテスト×640, EBV抗体強陽性. TP 9.2g/dl, γ-glb 56.9%, IgG5,090mg/dl, IgA 677, IgM 169. IgG-κ型M蛋白(+). OKT 4: 10.7%, OKT 8: 17.6%, OKT 4/8比0.59.上部消化管透視:胃下垂と巨大皺襞を認め所々にpolypoid隆起を認めた.空腸,回腸にも同様にpolypoid病変を認めた.注腸透視:直腸および結腸に多発性ポリープ様病変を認めた.リンパ節生検像:〓胞の過形成および血管の増生を認め,一部には硝子化を認めた.全体に形質細胞の増殖が著しく集簇像を認めた.所々にWarthin-Finkeldey巨細胞様細胞を認めた.消化管生検像:胃,十二指腸,直腸ともに上皮には変化なく粘膜固有層に形質細胞,リンパ球の浸潤を認めた.直腸では血管の硝子化を示すものもあった.組織学的には,リンパ節,消化管は同一の病変と考えられた.

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