日本臨床免疫学会会誌
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特発性門脈圧亢進症を合併した全身性エリテマトーデスの1症例
鈴木 厚高品 尚哉岡田 純近藤 啓文大部 誠柏崎 禎夫
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1989 年 12 巻 6 号 p. 668-674

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抄録

48歳女性.昭和44年2月全身倦怠感および多関節痛で発症.多関節炎,蝶形紅斑,脾腫,白血球減少,抗核抗体陽性などよりSLEと診断. Paramethason投与にて脾腫以外の症状軽快.昭和49年ころより脱毛,血小板減少出現.昭和52年上部消化管造影にて食道静脈瘤を認めた.昭和53年4月精査目的にて北里大学病院入院.肝シンチグラフィー,選択的腹腔動脈造影,肝静脈造影にて脾腫を認め,貧血,さらに門脈圧亢進症状としての副血行路形成の存在より本例は特発性門脈圧亢進症(IPH)を合併したSLEと診断した.食道離断術を施行後SLEは非活動性であったが,昭和58年6月悪心,嘔吐にて再入院.同年9月吐血にて他界した.剖検では著明な脾腫を認め,病理組織ではIPHに一致する所見を呈していた.
本例はSLEの発症時にすでにIPHも合併していたと考えられ,なんらかの共通する免疫異常がSLEとIPHの両者の発症に関与している可能性が推測された.

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