日本臨床免疫学会会誌
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抗好中球細胞質抗体陽性を認めたWegener肉芽腫症の1例
武田 智星 智
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1990 年 13 巻 2 号 p. 190-196

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抄録
抗好中球細胞質抗体陽性を認めたWegener肉芽腫症の1例を経験したので報告する.症例は42歳の女性で昭和63年9月に鼻痛,鼻閉感,鼻出血が出現し鼻の変形に気づいた,某耳鼻科で加療し症状が軽快したが12月に再び同様な症状が出現した.その後平成元年3月には微熱,右耳難聴が,さらに咳嗽,右眼球結膜の充血,肘,足,膝関節痛が出現したため4月7日精査のため入院となった.鞍鼻,咳嗽,鼻痛などの上気道炎様症状,強膜炎,強度の炎症所見,抗好中球細胞質抗体陽性,蛋白尿,沈渣異常を認め,また鼻粘膜生検にてラングハンス型巨細胞を伴った類上皮肉芽腫と肉芽形成期の血管炎の所見を認めたためWegener肉芽腫症と診断した. Prednisolone 60mg/日, cyclophosphamide 100mg/日で治療を開始し臨床症状は著明に改善したが腎機能が急速に悪化し, pulse療法とplasmapheresisを併用した.現在は寛解の状態である.抗好中球細胞質抗体は入院時は32倍,臨床症状や腎障害の改善が認められ感染症を併発した6月下旬や,さらにWegener肉芽腫症の活動性がおさまっていた7月中旬は陰性であった.このことは抗好中球細胞質抗体がWegener肉芽腫症の診断や感染症の鑑別など疾患の活動性を判断する指標として有用な免疫学的検査であることを示唆するものである.
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