日本臨床免疫学会会誌
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多彩な臨床症状を呈した後天性免疫不全症候群(AIDS)の1例
仲宗根 正荒木 弘一増田 昌人大城 一郁新垣 均下地 忠夫三村 悟郎
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1991 年 14 巻 2 号 p. 216-223

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抄録
多彩な臨床症状を呈した後天性免疫不全症候群(AIDS)の1例を報告した.症例は36歳の男性で同性愛者であった.真菌性肺炎,口腔内カンジダ症,カリニ肺炎の既往を有し,今回は複視と意識障害を主訴に入院した.記銘力の低下,集中力の低下,無気力,精神運動の遅延などの典型的なAIDS痴呆症の症状を呈し,神経学的には右外転神経麻痺,右眼の耳側視野欠損および両足底の異常知覚を認め,右眼底には黄白色斑を認めた. CD4: 1.6% (3/mm3), CD4/CD8: 0.03,芽球化反応はPHA: 3,326cpm, Con-A: 821cpm, control: 275cpmと,強度の免疫不全状態を呈していた.脳CTで進行性の脳萎縮を,脳血流スキャンで頭頂~後頭葉の血流低下を, EEGで睡眠脳波を認めた.種々の治療にもかかわらず病態は改善せず,サイトメガロウイルス肺炎あるいは中枢性の呼吸麻痺で死亡した.経過中好酸球増多,多クローン性高γグロブリン血症,血小板減少,溶血性貧血を認めた.
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