日本臨床免疫学会会誌
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全身性エリテマトーデス患者に対する抗DNA抗体選択的免疫吸着療法の臨床的および免疫学的検討
石塚 俊晶鈴木 王洋原 まさ子広瀬 立夫針谷 正祥日高 利彦川越 光博中村 治雄
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1991 年 14 巻 3 号 p. 267-275

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抄録
腎症を合併した活動期全身性エリテマトーデス(SLE)患者4例に対して,抗DNA抗体選択的免疫吸着療法を施行し,その臨床的および免疫学的効果を検討した.血漿吸着器は鐘淵化学製SL-01カラムを用い, 1回2.5lの血漿処理量にて, 4回を1クールとし,同一患者に1~2クール施行した.全例において,血中抗DNA抗体価が1~2クール終了時には施行前値より著明に低下し,尿蛋白量も施行直後より低下傾向を示した.クレアチンクリアランスは,本治療施行後2例において改善を示し,残りの2例は不変であった.また,本療法を施行しなかったSLE症例と比較して,蛋白尿の改善期間が短い傾向が認められた.しかし,併用したプレドニゾロン量が少量であった2症例(それぞれ18mg/日, 20mg/日)においては,治療効果は一過性であった.これは,自己抗体産生細胞活性を十分に抑制できなかったためと思われる.本療法を施行する際には十分量のステロイド剤ないし免疫抑制剤を併用する必要があると考えられた.
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