日本臨床免疫学会会誌
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抗Na抗体:細胞周期関連抗原を認識する自己抗体
岡野 哲郎三森 経世秋月 正史
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1991 年 14 巻 3 号 p. 258-266

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抄録
蛍光抗体法で特徴的な染色様式を示す自己抗体をSLE患者血清中に見いだし,症例名より抗Na抗体と命名した.抗Na抗体は日常検査で用いるHEp-2細胞の20~30%と反応し散在型斑紋(varigated speckled)染色を示した.各細胞周期での抗Na抗体の染色様式はS/G 2期:微細顆粒による斑紋染色,分裂期:粗な顆粒状の離散型斑紋染色(discrete speckled),分裂後期から終期:収縮環の染色,であった.
抗Na抗体は動物の胸腺細胞可溶性抽出分画を用いた二重免疫拡散法では検出されなかった.
抗Na抗体は抗PCNA抗体と同様に細胞周期に関連した物質を認識するが,それぞれの対応抗原は異なっていた.抗Na抗体は,散在型斑紋染色を示す血清の83%に認められ, 9.5%の抗PCNA抗体陽性頻度より高頻度であった.
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