日本臨床免疫学会会誌
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長期生存した不完全型DiGeorge症候群と考えられる1例
廣谷 淳森本 茂人今中 俊爾中本 康朗大塚 篤弘三木 哲郎荻原 俊男
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1991 年 14 巻 3 号 p. 327-332

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抄録

DiGeorge症候群は,副甲状腺,胸腺の無~低形成および心血管系異常を主徴とし,多くは新生児期から幼児期に死亡する.われわれはDiGeorge症候群の長期生存の1例を経験した.症例は30歳男性で, 3歳より痙攣発作を繰り返した. 22歳時,低カルシウム(Ca)血症,高無機リン(Pi)血症,血中副甲状腺ホルモン(PTH)低値およびEllsworth-Howard試験により尿中Pi,サイクリックAMP (cAMP)両者の増加反応が陽性であることより特発性副甲状腺機能低下症と診断され, 1 α-hydroxyvitamin D3による治療を受けていた.本例は同時に右側大動脈弓を認め,また眼間離開,小顎,小耳症などの特徴的顔貌を示した.免疫学的には血中リンパ球数, T細胞数およびそのサブセット数は正常範囲内にあった.染色体検査は正常であった.本症例は,心血管系,免疫系の異常が軽度であったため,長期生存が可能となった不完全型DiGeorge症候群の1例と考えられた.

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