日本臨床免疫学会会誌
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多発性硬化症に混合性結合織病を合併した若年女性の1例
道免 和文大森 房之岩切 龍一山野 裕二郎長野 政則石橋 大海
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1991 年 14 巻 3 号 p. 333-339

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抄録
急性球後視神経炎で多発性硬化症を発症し, 10年後に混合性結合織病を合併,経過中無菌性髄膜炎を繰り返した若年女性の1症例を報告する.症例は27歳の女性. 12歳時,読書中に急に視力低下が生じ,眼科にて急性球後視神経炎の診断を受けた.プレドニゾロン投与にて軽快していたが, 2ヵ月後に頭痛,発熱,項部硬直,手指振戦が生じ入院.その後の経過も含めた臨床経過,神経学的所見,画像所見より,多発性硬化症と診断された. 20歳時に, Raynaud現象,手指の腫脹,関節痛が出現, 22歳時顔面蝶形紅斑,頚部,上下肢の筋力の低下が出現し再入院.抗nRNP抗体単独高値より,混合性結合織病の確定診断が得られた.両疾患とも自己免疫疾患と考えられているが,両者の合併例の報告は今までになく,また無菌性髄膜炎を数回繰り返して発症していることも合わせ,その発症,進展に興味がもたれたため,若干の文献的考察を加えて報告する.
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