日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
血小板減少症と急激に進行した間質性肺炎を合併したSjögren症候群の1例
小池 道明橋本 真生斉藤 潔大沢 秀樹若林 芳久廣瀬 俊一
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 14 巻 3 号 p. 348-352

詳細
抄録
54歳女性.昭和49年より眼の乾燥,口渇,高γグロブリン血症を主症状とするSjögren症候群と診断されていた.平成元年2月,発熱,労作時の息切れ,疲労感を主訴に当院に入院となった,両側下肺野にvelcroラ音を認めた.また,血小板6.9×104lと減少を認め, PAIgGは184.2ng/107 cellsと高値を示し,骨髄では巨核球数の増加を認めた.また,抗核抗体1,280倍,抗SS-A抗体512倍,抗SS-B抗体4倍であった.胸部X線写真上,両側下肺野に網状細粒状の陰影を認め,動脈血液ガス分析では, PaO2 54mmHg, PaCO2 22.7mmHgと低酸素血症を呈していた.以上より, Sjögren症候群に血小板減少と間質性肺炎を合併したものと考え,プレドニゾロン50mg/dayの投与を開始したところ,血小板の増加および肺炎の著しい改善をただちに認めた.
Sjögren症候群と血小板減少の合併は,本邦では24例報告されているが,本症例は同時に急激な間質性肺炎を認めた興味ある症例と思われる.なお,血小板減少と間質面肺炎が合併したSjögren症候群は,これまで1例も報告されていない.
著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top