抄録
Tリンパ性悪性腫瘍が疑われたリンパ節27例につき単細胞浮遊液を作成し,蛍光抗体法によるflow cytometryを用いた細胞表面抗原の検索と免疫組織染色を併用し, retrospectiveに両者の診断学的有用性につき検討した.対照として反応性リンパ節炎22例についても検討した.
Flow cytometryによる検索では, Tリンパ腫および反応性リンパ節炎の細胞表面抗原陽性率は,それぞれCD 3 (58.7%, 68.1%), CD 4 (46.9%, 49.8%), CD 8 (23.3%, 24.7%)と,両群はほぼ同様の陽性率を示した. CD 4/CD 8比についても2.01, 3.31であり,陽性率のみではCD 8+Tリンパ腫の2例を除きTリンパ腫と診断することは困難であった.免疫組織染色では,組織学的に腫瘍細胞の局在が明らかであり,同部の染色性はT細胞抗原, CD 4あるいはCD 8のclonal excessが判断でき,診断的価値が高いものであった.
皮膚の免疫組織染色では, 17例中9例に明らかな腫瘍T細胞のclonalityを確認しえた.皮膚型Tリンパ腫においても免疫組織染色による検索が有用と考えられた.