日本臨床免疫学会会誌
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肝機能正常の原発性胆汁性肝硬変を合併したSjögren症候群の1例
武田 智星 智
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1993 年 16 巻 2 号 p. 165-169

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抄録
肝機能正常の原発性胆汁性肝硬変(PBC)を合併したSjögren症候群(SjS)の1例を経験したので報告する.症例は67歳女性.昭和45年頃より口腔内乾燥感,昭和59年頃よりレイノー現象,手掌の毛細血管拡張,昭和60年頃より背部の掻痒感出現した.昭和63年頃より右季肋部痛が出現するようになり某院で胆石を指摘された.平成2年9月右季肋部痛を主訴に当院受診した.肝機能は正常であったが,腹部エコーで胆石と慢性肝疾患が示唆された.抗核抗体は640倍で染色パターンはdiscrete speckledであった.抗セントロメア抗体(ACA)は2,560倍,抗ミトコンドリア抗体(AMA)は160倍と高値を示した. PBCが疑われたため胆石の術中肝生検を施行した.肝臓の病理組織像は慢性非化膿性胆管炎でPBCと診断された.また口腔内乾燥感を認めたため小唾液腺生検施行し, SjSに合致する所見であった.本例はACAとAMAが共に陽性でSjSに肝機能正常のPBCを合併した症例である.早期のPBCやACAの臨床的意義を考えるうえで興味深い症例と考えられた.
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