日本臨床免疫学会会誌
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高Ca血症,高PTHrP (PTH related protein)血症を伴い,著明な骨打ち抜き像を認めた成人T細胞白血病
秋本 佳久石山 泰二郎上野 秀之中牧 剛日野 研一郎友安 茂鶴岡 延熹
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1993 年 16 巻 2 号 p. 170-175

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抄録
著者らは,高Ca血症,高PTHrP (PTH related protein)血症を伴う著明な骨打ち抜き像を認めた成人T細胞白血病(以下ATL)を経験した.症例は, 58歳,女性.某医で,骨打ち抜き像を指摘され1991年2月18日入院した.末梢血,骨髄に異常細胞は認められず, BUN 93.1mg/dl, Crnn 2.7mg/dl, Ca 14.5mg/dlと高値を示した.腫瘍マーカーに異常はなく,免疫グロプリン値は正常で,免疫電気泳動検査でM-componentはみられなかった.頭蓋骨,長管骨に著明な骨打ち抜き像を認めた. 3月11日,白血球数が著増しflower cellが出現し抗HTLV-I抗体は陽性であった. HTLV-Iのproviral DNAを証明しATLと診断した.血清Caは21.0mg/dlと増加し,血清中PTHrP (RIA法)は319.0pmol/lと高値を示した. CHOP療法を施行し異常細胞は消失したが,頭部CTで脳実質浸潤を認め呼吸不全で死亡した. ATLの病態で骨病変はまれであるが,骨打ち抜き像を呈する症例もあり留意する必要がある.
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