日本臨床免疫学会会誌
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膠原病疾患におけるステロイドミオパチーのprospective study
鈴木 厚岡田 純柏崎 禎夫
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1993 年 16 巻 4 号 p. 262-271

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抄録
ステロイド剤の副作用としてのステロイドミオパチーはよく知られているが,その頻度および病態については不明な点が多い.今回,われわれはステロイドミオパチーについて膠原病患者を対象に3.25年間のprospective studyを行った.対象症例はプレドニゾロン20mg/日以上の投与例で,ステロイド剤投与後4週間以上入院観察しえた52例である.なお,プレドニゾロンの前治療量10mg/日未満は対象としたが,経過中プレドニゾロンを増量した症例は対象外とした.ステロイドミオパチーの診断はCPK正常値でステロイド剤の減量により筋力の改善を認めた症例とし,ステロイド以外に原因が求められない筋症とした. prospective studyの52例中18例(34.8%)にステロイドミオパチーの出現を認めた.その発症はステロイド剤投与後平均30.1±13.5日目であった.ステロイドミオパチー発症群とステロイドミオパチー非発症群を比較するとプレドニゾロンの量に有意差を認めた.ステロイドミオパチーの発症頻度はプレドニゾロン50mg/日以下の群は50mg/日以上の群に比較して有意に低値であった.このことはステロイドミオパチーの発症はステロイド投与量に依存するものと推測された.ステロイド剤投与後ステロイドミオパチー発症群は平均4.3kgの体重減少を示し,非発症群に比較し有意差を認めた.検査所見では血清LDH, %クレアチン尿は両群間に有意差を認めなかったが,血清コリンエステラーゼはステロイドミオパチー発症群で有意の減少を示し両群間に有意差を認めた.以上より体重減少,血清コリンエステラーゼ値がステロイドミオパチーの診断に有用と考えられた.
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