抄録
本論文は、 2000年の都市計画法改正により市町村都市計画審議会を強化した背景のなかで、九州地方の市町村都市計画審議会の学術委員の構成を調査・分析した上で、学識経験者の構成から見た今後の市町村都計審のあり方に関する考察を行うことを目的にしている。アンケート調査は、 264の自治体で実施し、アンケート項目は 1)学術経験者の構成、 2)学術経験者の選定の際の問題点、 3)その他の特別委員の選定状況の把握と理由など、である。主な結果は:教員委員を持っている都計審の数が少ないこと、多くの自治体が大学との距離が大きいため、委員指名に課題があること、また大学との距離が短いにもかかわらず教員委員を選定していない自治体があることなどがわかった。これらは、各自治体が、教員委員を確保しようとするインセンティブが不足していることを意味していると考えられる。今後、市町村都計審の「専門性の向上」が必要であると言えよう。