日本臨床免疫学会会誌
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インスリン依存型糖尿病および慢性甲状腺炎を合併したシェーグレン症候群の1例
毛利 雅美南部 静洋関 利満正木 康史菅井 進
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1993 年 16 巻 4 号 p. 290-295

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抄録
症例は61歳,女性.平成3年5月頃より,口渇,眼球乾燥感が出現し, Schirmer試験,ガム試験,唾液腺シンチおよび口唇唾液腺生検よりシェーグレン症候群(SjS)と診断した.平成4年1月頃より全身倦怠感,体重減少,脱毛が出現し, 75g経ロブドウ糖負荷試験,甲状腺機能検査にてインスリン依存型糖尿病(IDDM)および甲状腺機能低下症の合併例と診断した.自己抗体は抗核抗体および抗マイクロゾーム抗体のみ陽性で膵島細胞抗体(ICA),膵島細胞膜抗体(ICSA)およびインスリンレセプター抗体は陰性であった. IDDMは臓器特異的自己免疫疾患として理解され,自己免疫性甲状腺疾患(ATD)との合併は比較的高頻度にみられる.しかし膠原病との合併例はまれである.またSjSにIDDMを合併した例は極めて少なく,両疾患の因果関係に問題の残るところである.しかし動物実験などの報告も考え合わせると,単なる偶発例でなく病因的関連があるものと考えられた.
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