日本臨床免疫学会会誌
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顕著な中枢神経症状を呈したAIDSの1剖検例
田中 克典今井 浩三得能 徹也青木 繁雄生田 茂夫仲川 尚明千葉 進日野田 裕治谷内 昭若林 淳一佐藤 昌明森 道夫
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1993 年 16 巻 4 号 p. 318-323

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抄録
顕著な中枢神経症状を呈したAIDSの1例を報告する.症例は40歳男性,感染経路は不明. 3'-azido-2', 3'-dideoxythymidine (ATZ)に反応せず,痴呆を呈し,左片麻痺,球麻痺,除皮質硬直と進行し,中枢性と思われる呼吸障害で死亡した.頭部MRIでは進行性の大脳萎縮とT2強調画像で大脳白質のび慢性高信号域を認め, HIV脳症と考えられた.髄液検査ではβ2マイクログロブリンの増加を認め, Western blot法でp24バンドの経時的減少をみた.剖検では開頭は許可されなかったが脾,リンパ節濾胞の著明な減少, CD 4陽性細胞数の激減がみられた.今後,わが国においてもこのような中枢神経症状を伴う症例の増加が予想されるので速報した.
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