日本臨床免疫学会会誌
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インターロイキン2活性化キラー(LAK)細胞誘導過程におけるTGF-βの抑制機構の解析
西浦 正芳土田 哲雄東野 一彌
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1994 年 17 巻 1 号 p. 15-24

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抄録
内因性のLAK細胞誘導を目標とした免疫療法を施行するうえで,阻害的に働く可能性のあるTGF-βについて, in vitroにおけるヒトLAK細胞誘導に対する抑制機構に焦点を当てて解析を行い,以下の結果を得た.(1) TGF-βは, IL-2によるLAK細胞誘導過程に,濃度依存性の抑制作用を示したが, LAK細胞による細胞傷害活性発現の過程には,まったく抑制を示さなかった.(2) 3カラーフローサイトメトリー法により, CD3- CD 16+ NK細胞表面上のIL-2Rの発現を検討したところ, TGF-β添加群では, NK細胞上に恒常的発現を示すIL-2Rβ鎖の発現は抑制されず, α鎖のみの選択的抑制であることが示された.(3) 細胞表面より遊離されたIL-2Rα鎖と考えられる可溶性IL-2Rを測定したところ, TGF-β添加群で著明に抑制されていた.したがって, α鎖の細胞内での産生そのものが抑制されていることが確認された.
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